インターネットは様々なネットワークを取り込むことによって巨大化し、その利用人口は爆発的に増加し続けている。にもかかわらずネットワークが破綻することなく動作しているのは、ネットワーク帯域、ルータ能力等の物理的資源の増強だけではなく、トランスポート層プロトコルであるTCP (Transmission Control Protocol) の持つ輻輳制御機能によるところが大きい。ネットワークの輻輳制御には2つの大きな目的がある。1つはネットワーク輻輳の回避、及び輻輳が避けられなかった場合の輻輳状態からの回復であり、もう1つはフロー(コネクション)間の公平性の確保である。ここでの公平性には、他のフローに比べて不当に多くのネットワーク資源(帯域、ルータバッファ等)を占有しているフロー(Ill-behaved flow: プロトコル規約に則らない違反フロー)を発見し、それを排除する機能も含まれる。そこで本研究では、公平性向上のためのインターネットにおける輻輳制御を、エンドホストにおけるTCP制御とネットワーク内のルータが行う制御に分け、それぞれについて説明を行い、現在の問題点を指摘している。また、それらの問題点を解決するために提案されている最新技術を紹介し、フロー間の公平性を向上させるための方策について検討を行っている。また、公平性向上のためには、ネットワーク帯域の公平な配分だけでなく、エンドホスト資源の効率的な配分も重要であることを指摘している。
[関連発表論文]
Go Hasegawa and Masayuki Murata,
"Survey on fairness issues in TCP congestion control mechanisms,"
IEICE Transactions on Communications
,
vol. E84-B, pp. 1461-1472, June 2001.
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長谷川剛, 村田正幸,
"インターネットフローの公平性,"
電子情報通信学会技術研究報告(IN2001-95), pp. 37-44, October 2001(招待講演).
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Go Hasegawa, Tatsuhiko Terai, Takuya Okamoto and Masayuki Murata,
"Scalable resource management for high-performance Web servers,"
submitted to
IEEE/ACM Transactions on Networking
,
October 2001.
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Tatsuhiko Terai, Takuya Okamoto, Go Hasegawa and Masayuki Murata,
"Design and implementation experiments of scalable socket buffer tuning,"
in
Proceedings of 4th Asia-Pacific Symposium on Information and Telecommunication Technologies (APSITT 2001)
,
(Katmandu & Atami), pp. 123-127, November 2001.
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Go Hasegawa, Tatsuhiko Terai, Takuya Okamoto and Masayuki Murata,
"Scalable socket buffer tuning for high-performance Web servers,"
in
Proceedings of IEEE International Conference on Network Protocols 2001 (ICNP 2001)
,
pp. 281-289, November 2001.
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Takuya Okamoto, Tatsuhiko Terai, Go Hasegawa and Masayuki Murata,
"A resource/connection management scheme for HTTP proxy servers,"
submitted to
ACM SIGCOMM 2002
, February 2002.
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Takuya Okamoto, Tatsuhiko Terai, Go Hasegawa and Masayuki Murata,
"A resource/connection management scheme for HTTP proxy servers,"
submitted to
the Second IFIP-TC6 Networking Conference (Networking 2002)
,
November 2001.
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岡本卓也, 寺井達彦, 長谷川剛, 村田正幸,
"HTTP proxyサーバにおける動的コネクション管理方式,"
電子情報通信学会技術研究報告(NS2001-161, CQ2001-73, TM2001-51),
pp. 47-52, November 2001.
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寺井達彦, 岡本卓也, 長谷川剛, 村田正幸,
"Webプロキシサーバにおける動的資源管理方式の提案と実装,"
電子情報通信学会技術研究報告, February 2002.
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Tatsuhiko Terai,
"Dynamic resource management scheme for TCP connections at Internet servers,"
Master's thesis, Graduate School of Engineering Science, Osaka University, February 2002.
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公平性に着目したREDルータの解析的評価と性能改善に関する研究
ボトルネックルータにおけるTCPコネクション間の不公平性を改善するための一つの方法として、RED (Random Early Detection) ルータを用いることが有効であると言われている。そこで本研究では、特にフロー間の公平性に着目し、REDルータの評価を数学的解析手法により行い、その結果、パラメータ設定が適切な場合はREDの公平性はTDに対して優れているが、パラメータ設定が不適切な時にはREDの性能がTDよりも劣化する場合があることを明らかにしている。また、REDのパラメータをルータの輻輳状況に応じて動的に変化させ、ネットワーク状況の変化に対応する動的パラメータ設定方式である dt-RED (RED with dynamic threshold control)方式を提案し、性能評価を行っている。さらに、遅延時間やリンク帯域等の環境が同じ場合でも、TCPコネクションが転送するデータサイズの違いによってスループットに不公平性が発生することを指摘し、それを改善する手法として、ルータにおいて転送データサイズを推測し、推測結果に基いて転送データサイズに応じてREDにおけるパケット廃棄率を変化させるhash-RED方式を提案し、その有効性をシミュレーションによって明らかにしている。
[関連発表論文]
Go Hasegawa and Masayuki Murata,
"Dynamic threshold control of RED for fairness among thousands TCP connections,"
in
Proceedings of 4th Asia-Pacific Symposium on Information and Telecommunication Technologies (APSITT 2001)
,
(Katmandu & Atami), pp. 213-217, November 2001.
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Go Hasegawa and Masayuki Murata,
"Analysis of dynamic behaviors of many TCP connections sharing Tail-drop/RED routers,"
in
Proceedings of IEEE GLOBECOM 2001
,
November 2001.
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Koichi Tokuda, Go Hasegawa and Masayuki Murata,
"Analysis and improvement of the fairness between long-lived and short-lived TCP connections,"
submitted to
Seventh International Workshop on Protocols for High Speed Networks (PfHSN 2002)
,
November 2001.
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Koichi Tokuda, Go Hasegawa and Masayuki Murata,
"TCP throughput analysis with variable packet loss probability for improving fairness among long/short-lived TCP connections,"
to be presented at
IEEE Workshop on Communications Quality & Reliability, November 2001.
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長谷川剛, 板谷夏樹, 村田正幸,
"バックボーンルータにおけるREDの動的閾値制御方式,"
電子情報通信学会技術研究報告 (NS2001-11), pp. 1-6, April 2001.
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徳田航一, 長谷川剛, 村田正幸,
"転送データサイズの違いによるTCPコネクション間の不公平性に関する一検討,"
電子情報通信学会技術研究報告 (IN2001-150), pp. 7-12, January 2002.
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衛星インターネットにおけるTCPスループット改善手法に関する研究
衛星回線は伝搬遅延時間が非常に大きいため、衛星回線を経由したインターネットアクセスにおいては、TCPコネクションのスループットが非常に低下することが知られている。本研究では、この問題を解決するためのTCP プロキシメカニズムの提案を行っている。提案方式は、衛星回線を経由した送受信端末間のコネクションを、送信側端末-送信側衛星ステーション間の地上コネクション、衛星ステーション間の衛星コネクション、及び受信側衛星ステーション-受信側端末間の地上コネクションの3本に分割する。また、衛星部分においては、SCTP (Stream Control Transport Protocol)を用いて複数のTCPコネクションを1本のSCTPコネクションに多重化し、衛星回線で性能劣化の原因ウィンドウサイズの問題を解決している。さらに、衛星回線はその帯域遅延積がほぼ固定され、輻輳は発生しないため、SCTPで採用されているTCP Renoに基づく輻輳制御方式は適合しないと考えられため、本研究では衛星回線上のSCTPコネクションにおいてTCP Vegasに基づく輻輳制御方式を用いる新たな方式を提案している。これは、TCP Vegasはネットワーク内に一本のTCPコネクションが存在する場合に高い性能を示すことが明らかとなっているためである。本研究では、nsを用いたシミュレーション結果を通じて提案方式の性能評価を行い、提案方式が衛星回線の帯域をすばやく有効に利用できることを明らかにしている。
[関連発表論文]
幸田守弘, 長谷川剛, 村田正幸,
"衛星インターネットにおけるTCPコネクション多重化のためのプロキシ機構に関する研究,"
電子情報通信学会情報ネットワーク研究会, March 2002.
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Morihiro Kouda,
"Proxy mechanism for multiplexing TCP connections on the satellite Internet,"
Master's thesis, Graduate School of Engineering Science, Osaka University, February 2002.
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Haruki Tojo, Go Hasegawa and Masayuki Murata,
"Design and implementation of experimental network emulator with Intel IXP1200 network processor,"
submitted to
IEEE GLOBECOM 2002
,
February 2002.
東條晴基, 長谷川剛, 村田正幸,
"ネットワークプロセッサを用いた実験用ネットワークエミュレータシステムの構築,"
電子情報通信学会情報ネットワーク研究会, March 2002.
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東條晴基,
"ネットワークプロセッサを用いた実験用ネットワークエミュレータシステムの構築,"
大阪大学基礎工学部情報科学科特別研究報告, February 2002.
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Hideyuki Shimonishi, Ichinoshin Maki, Tsutomu Murase and Masayuki Murata,
"Dynamic fair bandwidth allocation for diffserv classes,"
to be presented at
IEEE International Conference on Communications 2002 (ICC 2002)
, April 2002.
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牧一之進, 下西英之, 村田正幸, 宮原秀夫,
"高速バックボーンネットワークにおける公平性を考慮した階層化パケットスケジューリング方式,"
電子情報通信学会技術研究報告(NS2001-55), pp. 43-48, June 2001.
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下西英之, 牧一之進, 村瀬勉, 村田正幸, 宮原秀夫,
"ブロードバンドインターネットアクセスに対応したQoS制御技術 -公平なネットワーク利用の実現-,"
電子情報通信学会通信ソサイエティ大会報告 (SB-5-3),
September 2001.
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牧一之進, 下西英之, 村瀬勉, 村田正幸, 宮原秀夫,
"公平なネットワーク利用を実現するスケーラブルなパケットスケジューリング方式,"
電子情報通信学会通信ソサイエティ大会報告 (SB-5-4), September 2001.
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Ichinoshin Maki,
"A study on high speed and scalable packet scheduling method for achieving fair service,"
Master's thesis, Graduate School of Engineering Science, Osaka University, February 2002.
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